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2021.01.01
2021/1/1 スポーツ庁、ゴルフ場利用税の在り方の見直し要望

スポーツ庁は文部科学省の令和3年度税制改正要望として、「ゴルフ場利用税の在り方の見直し」を総務省に提出した。今年は新型コロナの影響で各省庁の税制改正、予算要望も1カ月遅れとなり、ゴルフ場利用税に関する地方税法改正要望のため、総務省に要望を提出(9月末)した。

要望内容は、スポーツを行う中で唯一ゴルフのみに課税されている「ゴルフ場利用税」の在り方を見直すことが必要(関係条文地方税法第75条等)とし、「施策の必要性」として、従来から主張しているスポーツ基本法(平成23年法律第78号)で定めた国民の権利【スポーツ基本法との関係】や【生涯スポーツ社会の実現】、【オリンピック憲章に基づく差別の解消】等の相当性を挙げた。
また【一般財源となる税制度との関係】ゴルフ場利用税は、その税収が地方公共団体の一般財源となり、地方税法上、税収の使途はゴルフ振興に限定されておらず、例えば、ゴルフの振興を通じた地域振興の好循環に誘導できない。【ゴルフを取り巻く社会状況の変化への対応】としてゴルフが2016年のオリンピック競技大会リオデジャネイロ大会から正式競技に復帰するなど競技スポーツとして国内的・国際的にも広く認知されている一方、ゴルフ人口が半減し、ゴルフ場も閉鎖していることから、これらの防止でゴルフ場を活用した地域の振興を図るとともに、ゴルフ人口の増加の方策を検討する必要があるとして【地方自治体と共同して行う、ゴルフ振興策の検討・実施】も挙げている。

ゴルフ場利用税見直し要望の対象は6685万4657人、対象施設2249施設(総務省平成30年調べ)。平成15年度のゴルフ場利用税の一部非課税措置の導入以来、非課税措置適用者は約411万人(平成15年度)→約1802万人(平成30年度)に、総利用者数に占める割合は4・6%(平成15年度)→21・23%(平成30年度)に増加。また平成15年度に非課税措置が創設されてから、非課税措置の対象となる利用者は、18歳未満の増加率が2・58倍、70歳以上の増加率が4・63倍に増加しており、非課税措置は利用者増に寄与する要素である。なお、課税利用者は21%の減少という結果が出ているとも指摘した。
ゴルフ場利用税が廃止された場合、ゴルフのプレー回数増やゴルフ用品の購入など、廃止分をゴルフ関係に活用すると回答したゴルファーは85%であった(ゴルフダイジェスト・オンラインによるアンケート調査(平成28年度実施))も紹介している。

平成元年4月の消費税創設時に廃止された娯楽施設利用税のうち、スポーツの中でゴルフ場の利用にのみ課税が存続し、消費税との二重課税となっている。
これまでスポーツ庁(文科省)は、ゴルフ場利用税に関して一貫して廃止を要望してきたが、年末の税制改正大綱では「今後長期的に検討する」との表現にとどまった。このため令和2年度税制改正要望では30歳未満と65歳以上等の非課税措置の拡充の要望に方向転換したが、令和2年度は①オリンピックを含む、国際競技大会出場選手、②公式練習時の国体競技参加選手の非課税措置にとどまった。

ゴルフ団体も今年の日本ゴルフサミット会議(本紙6547号の6月16日開催)で「ゴルフ振興推進運動」の5カ年計画により地方自治体と協力して、ゴルフと地域の振興を目指す方針を掲げており、スポーツ庁(健康スポーツ課企画係)もそれに寄り添い、総務省との協議を進めて要望実現を目指す考えだ。

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※「ゴルフ特信」第6576号より一部抜粋

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