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2019.04.30
2019/4/30 ゴルファー体験の管理、「Players 1st」日本参入

USGAの3月13日のシンポジウムでは「ゴルファー体験の管理」として、デンマークのカスタマーエクスペリエンス管理会社である「Players 1st」のジェイコブ・バクステッド氏(マーケティングディレクター)が継続的なデータ分析をすることで、顧客の満足度を上げるシステムを紹介し、日本市場でも実験を始めると発表した。
同システムは11カ国、1500カ所のクラブ、150万人以上のプレーヤーからのフィードバックをインサイト(洞察)のソースとした。プレーヤーが減少し、プレーをやめたゴルファーの75%が26を超えるハンディキャップだったことなどの要因を挙げ、ゴルファーの大多数が既存のゴルファーからの直接勧誘であり、勧誘を成功させるには推奨者(Promoter)がカギであること、優先順位を決めること等が競技人口の拡大に必要と導き出した。

NPS(Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤルティを数値化する指標といわれ、同氏はNPSがあらゆる業界において最も重要な顧客の指標としている(ちなみに従来は「顧客満足度」を指標とするケースが多かったが、NPSの方が収益性に連動するといわれるようだ)。
NPSを測るのは、「この「会社ブランド」を友達や同僚に勧めたいと思いますか?」の1つの質問に0~10の11段階でどう答えたかによる。そして9~10の〝非常にそう思う〟から0~6の〝まったく思わない〟を引いた値がNPSとなる。また批判者(Detractors)に比較して推奨者は4・2倍再購入する可能性が高い。業界のNPのリーダーは競合相手に比べ2倍以上の成長を遂げているなどと成功例を挙げている。

同システムでは、ゴルフクラブのプレーヤー向けにオンラインアンケートを行い、ダッシュボードとして一覧表示され分析可能なデータとなる。業務の中心に顧客の体験を設定し、すべてのタッチポイントを理解する重要性があると説明。アメリカでの「ゴルファー体験の定義」調査のように、プレーヤーのジャーニーを5つの項目、13のタッチポイントに分けている。
そしてサービスを向上し顧客離れを増やす等の取り組みとして、継続的に再評価し、再考、対応可能にする洗練された「クローズドループプロセス」が重要としている。

同社が調べた各国のNPSはデンマークの52を筆頭に北欧が高く、アメリカは平均の40を下回る29だったという。アメリカのデータを上げるヒントとしては、ソフトやエリア(アクセス)に非常にフォーカスされていることから、コースへの投資よりもソーシャルアクティビティへの投資を提案、特に会員制では雰囲気や社交性を重視しているという。また会員制ゴルフ場の推奨者はハンディ25以上の高ハンディキャップの女性と紹介、NPSは週や曜日によって変化することなども披露した。
このシステムを導入したクラブは収益が上がっているというのだが、同社では日本市場にも参入する方針で、数週間以内に4~5クラブで試験的な調査を始めるという。
欧米の先端的なマーケティング手法が日本のゴルフ場で活かされるのか、興味が持たれるところだ。

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※「ゴルフ特信」第6356号より一部抜粋

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