一季出版株式会社

2019.04.12
2019/4/12 昨年の訪日外国人、国内ゴルフ場支出単価は約2万円

訪日外国人客が昨年初めて年間3000万人を突破し、政府は東京五輪のある2020年に4千万人、旅行消費額8兆円を目指すと元気だが、ゴルフ場が期待するインバウンドゴルフ客はここ数年でも増えていないというアンケートによる結果が、観光庁の平成30年1~12月の「訪日外国人消費動向調査」からわかった。
観光庁が推計した平成30年暦年の外国人消費額は過去最高の4・5兆円で国別にみると、中国が1兆5370億円で全体の34・1%を占めトップ、以下韓国5842億円、台湾5839億円、香港3355億円、米国2890億円で続いている。

また観光庁が各空港でアンケート調査した平成30年の「訪日外国人消費動向調査」では、30年からは回答項目に「ゴルフ場」が単独で復活し、その消費単価も集計して各訪日客の滞在時の支出事情も明らかになった。
直近の第4四半期(9~12月)では、アンケートに回答した訪日客8310人のうち21人が「ゴルフ場」で支出したと答えており、実施比率(選択率)は0・3%で、支出単価は1万929円となっている。「ゴルフ場」と回答した国が多いのは韓国5人、台湾・香港・ベトナム3人、中国2人などで実施比率でみるとベトナム0・8%、フランス0・7%などでゴルフが人気の韓国でも0・6%だった。

まだ30年暦年の詳報は出ていないが、四半期毎のアンケートを本紙で集計すると「ゴルフ場」で支出したと答えたのは全体の0・2%に当たる81人で、滞在中の支出単価は1万9937円となった。大手ゴルフ場運営会社のゴルフ場客単価や経産省動態統計のゴルフ場客単価と比べると、訪日客は約2倍の支出を行っていることがわかる。
四半期毎の集計で「ゴルフ場」の回答をみると、実施率で1%を超えたのは第2四半期でのイタリア1・2%、フィリピンとロシアの1・0%しかなかった。ただし単価ではその第2四半期が3万5899円となっており、中国の9万8289円が全体を押し上げている。その中国は第1四半期でも4万6243円を支出しており、ゴルフ場での〝爆買い〟はまだ続いていたようだ。ただしその中国も第4四半期では1万3950円と目立たなくなっている。

ゴルフ場業界からも期待されるインバウンドで気になるのは「ゴルフ場」への実施比率の低下だ。
29年まで同調査は、訪日中に実施した活動の集計で「その他スポーツ(ゴルフ等)」しかなく、支出先も「テーマパーク・ゴルフ場」で括られていたことから「ゴルフ場」単独の集計ができなかった。このため単独の集計ができた平成26年の実施比率である1・0%から訪日ゴルフ人口を推計するしかなかったが、30年は訪日客3千万人のうち0・2%の6万人が訪日ゴルフ人口となる。26年は訪日客1341万人の1・0%に当たる13・41万人と推計できたことから4年間で半減したことになる。

観光庁では訪日旅行消費額8兆円を目指す上で、ゴルフツーリズムに期待をかけており、同庁観光資源課では今回の調査結果も踏まえながら分析していきたいと話している。
ちなみに26年は訪日ゴルファー(同年のアンケートでは224人がゴルフを行ったと回答)のうち4分の1が韓国で、その韓国はゴルフの選択率も1・2%あった。30年は偏りがあったとしてもその韓国のゴルフ選択率が本紙集計で0・5%に低下、全体に低下しているなかにあっても韓国からの訪日客が戻している割には不可思議な現象となった。韓国政府が反日姿勢を続けていることもあるが、インバウンドを推進する意味でも考慮する必要があるようだ。
いずれにしてもLCCなど格安航空会社が増えたことで東南アジアなどからも多くの訪日客が増えて、その分、高額消費のゴルフ客の比率が減ったようだ。

関連記事:2018/12/12  2025年大阪万博決定、インバウンドに追い風

※「ゴルフ特信」第6346号より一部抜粋

過去のお知らせ一覧はこちら