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2025.05.26
2025/5/26 ゴルフ場動態統計、震災前とコロナ禍前比で顕著な変化

経済産業省は先ごろ、「特定サービス産業動態統計」の2024年12月分と24年年間の確報を発表した。
それによると、12月の速報分から修正され、同月のゴルフ場(経済産業局所在の8都道府県のゴルフ場)の利用者数は72万3520人(速報時72万5054人)で前年同月比1・3%の増加(1・5%増)となり、3カ月振りの増加、一方売上高は78億2800万円(78億32百万円)で前年同月比2・4%の増加(2・5%増)となり、同じく3カ月振りの増加。利用者数、売上高とも若干下方修正となった。これにより12月ゴルフ場客単価は1万819円(1万802円)で24年11月の1万811円を上回り、コロナ後最高値を更新した。
また2024年の客単価は1万195円となり、2011年の1万145円を上回り、東日本大震災以前レベルまで近づいてきた。

そこで18H換算で2024年とコロナ禍前の2019年、東日本大震災前の2010年を比べてみると、ゴルフ場運営の変遷がわかる。ゴルフ場売上高は19年比が9・6%増で、10年比の9・5%増と変わらないが、急激に伸びている。ただしキャディフィ収入が19年比18・3%減、10年比54・8%減とキャディ人数を含めコロナ禍でも大きく減少し、セルフプレー比率が大きく伸びたのがわかる。利用料金収入は19年比16・0%増、10年比19・6%増で特に平日は19年比21・1%増、10年比26・6%増とかなり伸びた。非会員でも利用者数が平日で19年比11・0%増、10年比21・9%増と伸びており、団塊の世代等が非課税化したり、生活習慣の変化で平日の利用が大きく伸びたようだ。一方、従業者数は正社員が19年比1・7%減、10年比1・4%減とほぼ横ばいでパート等が17・8%増、34・2%増と増えて従業者数が増加した。ただしキャディ人数は19年比16・3%減、10年比52・2%減とさらに減少している。
コロナ禍でのゴルフ場は2022年に1日当たりの利用者数が140・5人でピークとなり、24年は136・5人と3・1ポイント減少した。24年は天候不順の日が比較的多く、新型コロナの5類移行に伴い旅行などゴルフ以外のレジャーへ分散する傾向や、ゴルフ場料金値上げに伴う利用者減も出てきている。売上高は18ホール平均で425・4万円と高水準だが、人件費や資材・機械、燃料、食料品等と物価上昇が続いており、動態統計対象圏外の地方部ではより経営面で厳しさを迎えつつあるようだ。コロナ特需の反動が続くゴルフ練習場、一方で物価高でも好調が続く遊園地・テーマパークの動向も見ておきたいところだ。

なお、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査は、2024年12月調査をもって終了、総務省のサービス産業動向調査と統合され、2025年1月分(3月26日速報公表)より「サービス産業動態統計調査(総務省が実施)」となり、発表時期等が変わることになる。

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「ゴルフ特信」第7191号より一部抜粋

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