一季出版株式会社

2024.04.23
2024/4/23 ゴルフ場入場者数は21世紀に入って最高レベルの活況

ゴルフ界の現況を確認しておくと、22年度のゴルフ場入場者数が2009(平成21)年度以来の9100万人台と好調で、1ゴルフ場平均の入場者数は4万1571人で1997(平成9)年度の4万2417人レベルまで回復し、21世紀に入って最高レベルの活況を呈している。
23年は地区別入場者数で、8月7・30%減、5月5・70%減、6月5・40%減、10月4・00%減で週末に天気に恵まれない月がありつつも2月7・61%増、3月4・39%増があり、1~11月累計では1・7%減少程度に収まった。
ゴルフ場をはじめとするゴルフ界は、物価上昇によるコスト増で収益が削られる中、人手不足が深刻で賃金上昇も行う必要に迫られており、やはり国の施策にあるようなイノベーションやDX、機械化による生産性向上が不可避だ。

国内の消費行動が、物価上昇による可処分所得が増えない中で、選ばれる業種、施設になるように施設の改善やサービスの充実に努める必要がある。人材不足の解消には働く人の満足度(ES)を高める必要があり、業界としての地位、イメージの向上で労働者や消費者から選ばれる業界、産業になる必要に迫られている。
イノベーションや創意工夫とともに、他の企業、ゴルフ場、地域との連携により、弱みを解消する施策も考えられる。その意味で同じゴルフを目的とする屋外のゴルフ練習場の他に、コロナ禍で事業再構築補助金もあり急増しているインドアのゴルフ施設で新規参入組の半数以上は赤字に苦しんでいるとも聞くので、業界発展のために業界内で研究し、提携する必要もあるだろう。
韓国ではインドアのシミュレーションゴルフが低料金でゴルフに触れ、ゲームができるとゴルフ人口の底上げに貢献してきた。アメリカでもオフコースでの総行動者数が、初めてコースでプレーする人々を上回ったと報道しており、オンコースだけでない人々を囲い込む戦略は世界的流れだ。国内の屋外練習場でもトップトレーサーなどの機器を置いてゲーム性やIT化を高めた施設も増えてきており、業態のさらなる進化を図りたいところだ。

なお、レジャー白書では女性や50代のミドル層でアクティブ化しているデータもあるなかで、インドアのスクールなどは女性が主な対象となっており、施策としても有効となりそう。シニア世代とミドル世代は健康志向も高く、運動の習慣化が健康寿命を延伸させることを上手くプロモートできないと、少子高齢化が進む中にあって、ゴルフ産業の持続的発展は難しくなってしまうところだ。それに競技を行うジュニア大会は選手を取り合うほど盛んになってきたが、やはり一般のジュニアが手軽にゴルフを体験できる機会を地域の自治体とも行うなど一般に向けての取組みを継続する必要がありそうだ。

「ゴルフ特信」第7030号より一部抜粋

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