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2021.05.15
2021/5/15 アメリカでは新規ゴルファーの離脱を懸念?

アメリカのゴルフ場ビジネスを考察する際にNGF(全米ゴルフ財団)のデータやレポートがとても参考になるが、3月のレポートでは2020年に急激に増えた新規ゴルファーをどう継続し引き留めるか、心理学的なアプローチでの考察を掲載した。それだけ、昨年の米国ゴルフ市場は桁違いの成長を見せたようで、NGFのindustry facts(業界の事実)のページには誇らしげなデータが並んでいる。
最初の「24.8Million」(2480万人)は、2020年に米国内のゴルフコースでプレーした人口で、米国の6歳以上の人口の8%に当たるという。以下、日本語らしく並べ替えるとゴルフエンターテイメントやシミュレーター、レンジのコース外でのみの人口は「12.1Million」(1210万人)。2020年米国内のゴルフラウンド数は「501.8Million」(5億180万ラウンド)で2019年に比べて6000万ラウンド増加。2020年末の1万4145施設(場所)におけるゴルフコース数は「1万6165」コース。ゴルフをしない人(6歳以上)で、今非常にゴルフに興味ある人口が「17Million」(1700万人)で2019年より10%増加。2020年に初めてゴルフをした人口「3Million」(3百万人)は記録的な数。ゴルフの総リーチ数(ゴルフをプレーした人だけでなく、観戦、または読んだ人を含む)は「101Million」(1億100万人)。全国の慈善イベントを通じた募金活動は「$3.9Million」(3900万ドル)と並んでいる。

ゴルフ場のラウンド数の約5億ラウンドは、2019年に比べて13・9%増加しており、コロナによるパンデミックで3、4月に2000万回のラウンド数が減少していたが、6月から年末にかけてはプレーが大幅に急増して約7500万回の増加があったという。運営別での内訳はプライベートクラブが19・9%増、公共施設(旅行制限の影響をより受けたリゾートを含む)は12・4%増だったという。
ラウンド数はタイガーウッズブームが起きた1997年に前年より6300万回急増して以来の増加数。また昨年は169の18ホール相当数が閉鎖したが、2019年の246コースに比べて31%減となり、減少率は過去最も多くなったという。ゴルフ場数の縮小は不動産バブルが収縮し始め、サブプライム住宅ローン危機が発生した2006年に始まったが、これで閉鎖の増加(ゴルフ場数の縮小)が終わろうとしているのかを論じるレポートも出している。

3月のレポートでは、昨年のリピーターと初めての人の異常な流入を考えて、心理学のアプローチでどうすればより多くのゴルファーを維持できるか考えたいが簡単な答えがなく、聞いていきたいというものだった。
いずれにしても、コースの参加率はピーク時の11%から8%に下がったというが300万人の新規、初心者ゴルファーが増えて、うれしい困惑をしている様が伝わっている。NGFでは昨年、米国の個人向け給付金によりゴルフクラブセットの販売が増えたとレポートしており、その後の爆発的なゴルフコースラウンド増にもつながった。バイデン大統領に変わっても米国は3度目の給付金(最大1400ドル・約15万円)を実施することが決定した。今年も米国内ゴルフ産業が賑わうのは間違いないだろう。
翻って、日本でも昨年5月以降、10万円の定額給付金があったが、米国ほどのゴルフ産業隆盛は起きていない。でもコロナ禍で数少ないアクティビティとして特需状態のゴルフ練習場を筆頭に明るいデータは増えつつある。

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※「ゴルフ特信」第6635号より一部抜粋

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