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2023.09.11
2023/9/11 全国の2022年労災事故、入場者回復で増加傾向に

日本ゴルフ場支配人会連合会(八木秀夫会長、東京都台東区)は、2022年(1月1日~12月31日)に東日本及び西日本支配人会加盟クラブ(西日本は一部非加盟クラブ含む)で発生した労働災害の実態を調査し、先ごろ調査結果をまとめた。
同調査は、東日本及び西日本の支配人会が静岡県と新潟県を除く全国45都道府県の協力ゴルフ場における、労働災害の程度別、職種別、原因別の件数を毎年まとめている。なお、新潟県は21年末で支配人会を退会したことによるもので、東日本支配人会労働安全衛生委員会の岡本豊委員長は「全国の統計ができなくなっているので、再入会を働きかけている」としている。
22年は、重大事故のうち死亡事故が1件発生した。茨城県で刈り込みをして戻る途中の転落事故で、同事故によって21年に続く死亡事故ゼロとはならなかった。

22年の労災件数をみると、調査に協力した1638クラブ(前年比44クラブ減、2・62%減)で1029件にのぼった。前年に比べ67件、6・96%の増加で入場者回復で2年連続増加し、19年以来の千件台に戻ってしまった。東西に分けると、東日本(793クラブ=前年比40クラブ減)が520件で前年比54件増、11・59%増、西日本(845クラブ=同4クラブ減)が509件で前年比13件増、2・62%増と、東西ともに増加したが東日本で急増している。
1クラブ当たりの災害件数は0・63件で、前年に比べ0・06件増加した。東西別では、東日本0・66件(前年比0・10件増)、西日本0・60件(同0・02件増)となっており、東日本ではキャディ比率の高い東京、神奈川、埼玉、千葉の順に災害件数が多い。
労働災害の内容では、重大事故が「死亡」1件(前年ゼロ件)、「永久労働不能(障害等級1~3級)」1件(前年ゼロ件)、「永久一部労働不能(同4~14級)」ゼロ件(前年2件)だった。

職種別件数については、「キャディ」は488件(前年比36件増)、「コース管理」は273件(11件減)、「その他各部署」は215件(29件増)で、キャディによる事故が増える一方でコース管理での事故は減少した。西日本のみで集計している「レストラン」は53件で前年より12件増えた。
原因別件数では、滑り・ふみ外し・転倒転落等に起因する「行動」が668件(62件増)と多く、次いでカート・コース管理機械車輌等に起因する「機械」138件(15件増)、「その他」118件(20件減)、「打球」75件(8件増)と続いた。西日本のみ集計の「通勤」は30件で、前年より1件増えている。事故別では「行動」が東日本で全体の63%あり、岡本委員長によれば「日本国内における全産業平均(25%)を40ポイントほど上回っており、行動の中でも滑り・転倒による事故はゴルフ場に見られる特徴」だとしている。

労災状況の都道府県別では、「前年より増加」したのが21道県(=東7都道県、西14府県。前年は計24都道府県)、「前年と変わらず」が1県(=東1県、西ゼロ県、前年は計5県)、「前年より減少」が23都府県(=東8都県、西15府県、前年は計17県)となった。22年は前年に比べて減少にシフトしているが、埼玉県(34件増)、茨城県(17件増)、佐賀県(14件増)の3県では2桁増加だった。労災ゼロ件は青森、岩手、福島3県で岩手県は3年連続ゼロ件を更新している。前年ゼロ件だった西日本の3県は、22年労災事故が発生(鳥取県4件、島根県4件、徳島県8件)している。

なお、西日本の「労災適応非従業員」(6401人)の22年労災実態は、労災件数は12件(14件)となり前年より改善された。重大事故は「死亡」、「永久労働不能」、「永久一部労働不能」いずれもゼロ件(ゼロ件)だった。職種別では「キャディ」が5件(1件)、「コース管理」が3件(9件)、「レストラン」が2件(1件)、「その他各部署」が2件(3件)。原因別では「行動」が7件(10件)、「機械」が4件(ゼロ件)、「打球」が1件(1件)、「その他各部署」がゼロ件(1件)、「通勤」がゼロ件(2件)。職種別は「キャディ」、原因別は「機械」の件数が前年よりも増えている。

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「ゴルフ特信」第6949号より一部抜粋

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