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2020.01.30
2020/1/29 経産と国交省、台風で鉄柱倒壊の3練習場を調査し連絡

公益社団法人・全日本ゴルフ練習場連盟(横山雅也会長、JGRA、東京都渋谷区)は、12月13日に経済産業省サービス政策課サービス産業室及び国土交通省建築指導課建築物防災対策室から「ゴルフ練習場の鉄柱等の強風に対する安全対策について」の事務連絡があったとHPで公開した。
両省では、今年の台風15号及び台風19号に伴う強風により、千葉県市原市及び神奈川県横浜市においてゴルフ練習場の複数の鉄柱が倒壊する被害が発生したのを受け、現地調査結果の報告を行うとともに、同結果に基づき、ゴルフ練習場の事業者に安全対策について講じるよう、練習場連盟に連絡したもの。

調査したのは、国土交通省国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人建築研究所で、台風15号により鉄柱が隣接の住宅に倒壊した千葉県市原市のAゴルフ練習場を9月10日に、台風19号に伴う強風で鉄柱が敷地内の内側に倒壊した横浜市のBゴルフ練習場、鉄柱の先端部分が折損した横浜市のCゴルフ練習場をともに10月17日に調査した。
報告書では、①今回の台風の際に観測された最大風速は、いずれの観測地点においても、建築基準法で想定している風速を超えるものではなかった、②強風により柱脚のアンカーボルトの破断等が発生し、鉄柱の倒壊につながった、③いずれのゴルフ練習場も、被害発生時にネットを下ろしていなかった--等が示されたという。
両研究所の協力による試算によれば、ネットを取り付けた鉄柱が受ける風圧力は、ネットを下ろした場合の約2・9倍の転倒モーメントとなるなど、構造計算で想定していない大きな力を受ける可能性があるとしている。

このため両省では、①鉄柱等の構造設計が現行の構造基準に適合しているかどうかについて、建築士その他の専門技術者に確認を依頼すること、②鉄柱等が、ネットを下ろした状態の風圧力を前提とした構造計算により安全性が確かめられない場合にあっては、付近通行者への速やかな注意表示等及び補強その他の措置を講じる必要があること、③ネットを下ろした状態の風圧力を前提とした構造計算により安全性が確かめられない場合にあっては、台風等の強風時には、取り付けたネットを一時的に下ろすなど安全管理を徹底すること、④鉄柱等の劣化状況について、建築士その他の専門技術者の助言を踏まえ、必要な点検を専門技術者に依頼し、点検の結果に応じて、補修その他の措置を講じるよう努めること--を要請した。

調査した3カ所は倒壊した鉄柱が昭和47年や51、52年と古く、しかもネットを下ろしていない状態だった。特に市原市のゴルフ練習場は、倒壊したまま放置されたことで、練習場のイメージに悪影響も与えた。
JGRAでは未加盟練習場にも安全対策を知ってもらうため、今回の調査結果や事務連絡全文を公開したという。現状を把握するため鉄柱を立てた時期等のアンケート調査も加盟練習場で実施する考えとしている。

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※「ゴルフ特信」第6458号より一部抜粋

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