2026.07.04
2026/7/4 ゴルフ場従業員熱中症対策、定時休憩や冷却ベスト有効
一般社団法人・関東ゴルフ連盟(KGA、東京都中央区)は、ゴルフ振興委員会医学部会で昨年実施したアンケート調査の結果を基にした研究が、学術雑誌『Temperature』に掲載され、論文内容がスポーツ栄養WEBに掲載されたと先ごろ案内した。
同スポーツ栄養WEBによると、武蔵丘短期大学健康生活学科の長島洋介氏らの研究グループが、関東地方にある491カ所のゴルフ場の従業員を対象に行った研究の結果で、エアコンの効いたスペースで休憩を計画的にとることや、冷却機能を備えたウエア(冷却ベストなど)を着用することなどといったことが、労作性熱中症(EHI)のリスクを有意に抑制する可能性があり、従来の一般的な熱中症対策から一歩踏み込んだ対策立案につながる知見が示されていると紹介した。
同研究は2025年9月から10月にかけて、関東ゴルフ連盟加盟の従業員を対象に実施。有効回答を得た388人を解析した結果、回答者の63・7%にあたる247人が、2025年夏季の勤務中にめまいや頭痛、倦怠感といった「労作性熱疲労(EHE)」の症状を経験していた。職種別ではキャディやコースメンテナンススタッフに多く、作業強度が高いほど発症リスクが高まる傾向があった。
多変量解析の結果、リスクを高める要因として「高強度な作業」、「高湿度」、「無風状態」が特定された。一方で、リスクを抑制する保護因子として、「計画的な休憩の実施」、「エアコン完備の休憩エリアの設置」、「90分以上の休憩時間」、「熱中症対策教育の有無」が有効と判明。個人レベルの対策では「6時間以上の睡眠」、「熱中症に関する知識」、「遮光・遮熱機能のあるウエアや冷却ベスト(アイスベスト)の着用」がリスク低下に関連していた。
特に休憩環境の影響は大きく、エアコンのない場所での休憩や柔軟な休憩が取れない環境は、リスク増大に直結していた。ウエアに関しては、素材の通気性や吸水性、冷却ベストの着用は有効だが、ファン冷却式装置の使用については、本調査では有意な関連が認められなかったという。
長島氏らは、ゴルフ場従業員の熱中症リスクを体系的に調査したのは本研究が初であるとしている。睡眠やウエアの選択など個人で対処可能な項目もあるが、高湿度や無風といった環境因子、休憩制度の構築などは個人での回避が困難であるため、従業員の安全確保には経営者による積極的な関与と、組織的な予防介入が不可欠であると結論付けている。これからの季節、暑さが本格化するので、ゴルフ場では熱中症対策を確認したり、従業員の職場やプレーの環境を整備したいところだ。
