一季出版株式会社

2021.01.09
2021/1/9 ゴルフへの熱中度が高いのは60歳代前半か

総務省統計局の「家計調査」では8月にゴルフ場、ゴルフ練習場の利用者数が大きく伸びたことにより、ゴルフへの消費も主力の60代が前年同月比でプラスとなった他、30代をはじめとする若者が増えているのを裏付ける結果となった。今回は、この家計調査を過去にさかのぼって深堀りする。
8月の若者の増加はアコーディア・ゴルフのユニーク入場者数やGDOの発表でも裏付けられていた。

若者などの増減の推移は、新型コロナ感染者状況と政府の施策である、特別定額給付金や各自治体を含む持続化給付金の支給とも関係しているようだ。政府は6月19日から県境を越える移動を解除し、また東京発着を除きGoToトラベルキャンペーンも始まって、移動や旅行が増えていた。10万円の特別定額給付金は減収ではなかった人も支給されたので、使えるお金が増えていた。
家計調査による8月のゴルフ関係の消費動向(二人以上世帯)をみると、100世帯当たりの購入頻度はゴルフプレー料金が11回(%)で支出金額は722円、ゴルフ用具は2回で96円。これは前年同期と比較するとゴルフプレー料金は頻度が8・3%減も支出金額は4・2%増、ゴルフ用具は頻度が100%増、つまり倍増で、支出金額は26・3%増となる。

ゴルフプレー料金は表にある通り、今年4月や5月が頻度や支出金額が50%以上の落ち込みを記録したことから比べると7月で大幅に改善し、8月で支出金額が大幅にプラスに転じた。29歳以下の支出金額は700%増、30代は151%増となっている。ただ、前提として市場における若者世代のシェアは少ないことを確認しておきたい。8月の世帯主の年齢別分布は70歳以上が32・86%、60代21・13%、50代15・74%、40代19・55%で、30代9・16%、29歳以下は1・56%に過ぎない。
今年に入っても30代や20代の消費は堅調であったが、さすがのコロナ禍で全世代とも落ち込んだものの、30代や20代の消費は比較的立ち直りが早かった。売上が見込めない月があった飲食や宿泊の従事者は多大な影響を受けたが、子育てを終えた70歳以上や60歳代は7月、8月で大幅に回復した。増加率で目立つのは30代や20代だが、高齢者のアクティブ化で市場が回復したのは言うまでもない。

過去にさかのぼると、2018年にゴルフ関係の消費が若干落ち込んだ後、2019年に大幅回復し、特に渋野日向子プロが全英女子オープンを制した翌月の9月は消費増税前の駆け込み需要も加わり、全世代でゴルフ関係の消費が伸びた。30代や40代でもゴルフ用具支出が急増、元々これら世代は他の世代よりゴルフ関係支出が少なかったため、大幅増を記録した。このため、これから伸びるのは昨年9月以降、ゴルフ用具を購入した人が激増した40代であろうとみられる。元々、団塊ジュニア世代も多くゴルフ関係消費面では目立たなかったが、人口が多いだけに市場へのインパクトは大きいだろう。70歳以上は団塊の世代が加わったことで頻度や平均支出金額は60代を下回るようになったが、依然人口が多いだけに市場の主役であるのは間違いない。また過去のデータで70代が最もゴルフ熱が高かったのは団塊の世代が70歳になる前の2016年だった。つまり、団塊の世代は人口が多く、ゴルフに熱心なもののレジャーの多様化が進んだ世代でキャンプなどにも人口が流れ、その団塊ジュニア世代が今の第三次キャンプブームの主役となっていることも興味深い。

また同調査では形を変えて5歳違った集計をしているので、その人口分布をみていくと、65歳以上44・41%、55~64歳17・09%、45~54歳18・03%、35~44歳15・29%、25~34歳4・99%の構成となる。人口分布では60歳以上で過半数、55歳以上で6割を占め、40代も比較的多いことである。そして40代前半と40代後半では、ことゴルフに関しては雲泥の差がある可能性も示唆している。明確にわかるのは29歳以下の20代の8月のゴルフプレー料金支出は40円に過ぎず、25~34歳になると206円に跳ね上がるので30代(256円)が集計に入ることで25~34歳が上昇したことになる。逆に35~44歳は225円で30代を下回り、40歳前半は30代より支出が少ない可能性がある。40代277円、45~54歳437円と年齢が上がるごとに上昇する。前後関係から現在の60代前半がもっともゴルフ熱が高いものと考えられる。

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※「ゴルフ特信」第6579号より一部抜粋

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